2008年5月15日木曜日

41 ニセコ:冬と夏の共存(2008.05.15)

 ニセコは、今や外国人観光客で賑わいをみせています。そのため、ペンションがあちこちにあり、ゴールデンウィークの直前でも、探せば空きが見つかりました。そこで家族でニセコにでかけました。

 皆様は、ゴールデンウィークをどう過ごされたでしょうか。自宅で過ごされた方、街に出られた方、旅行に出られた方もおられることでしょう。私は、ニセコに家族で旅行にでかけました。
 ニセコは、海外の方、特にオーストラリアからの観光客が多数来られるようになりました。ニセコは「ニセコ積丹小樽海岸国定公園」に指定されているため、観光が主要な産業です。特に冬は、良質のパウダースノーを売り物にしたスキー場がニセコの山に裾にいくつもあります。日本人のスキー離れが進む中、外国からのスキー客を誘致に成功しました。
 平成20年4月末現在、ニセコの人口4671人(世帯数2100)のうち、外国人の方は54名(世帯数39)で、1%ほどの比率になります。北海道の小さな町で、外国人の占める比率が、かなり多いように感じます。外国人観光客の増加によって、観光産業自体の国際化で、ネイティブスピーカーの現地ガイドの重要が増してきているためではないでしょうか。
 ニセコに外国人が定住するということは、ニセコでは夏もレジャーに関わる仕事があるということです。豊富な水量ときれいな水をもつ尻別川を利用したラフティングやカヌーのような川遊びや、登山、トレッキングなども人気があるようです。特に雪解け水で増水した川でのラフティングは人気があるようです。
 海外からの観光ブームのためでしょうか、日本人観光客もかなり増えているように思えます。観光スポットは非常に多くの観光客があふれています。有名なところは、広い駐車場が満杯になるほどの混雑でした。ペンションも多数あります。ペンションの過度競争なのでしょうか、ゴールデンウィークでも空き室ができるほど空いてました。
 さて、私がニセコに行った理由ですが、家族サービスという目的はあったのですが、火山としてのニセコを見ることでした。今回のエッセイで取り上げるつもりでいたのです。ニセコには、何度も来ていますが、春のニセコには来たことがありませんでした。そこで、今回、ゴールデンウィークに出かけることにしました。
 スキー場としてニセコは有名で、山自体の姿は、それほど取りざたされることはありません。すぐ隣にある羊蹄山が、富士山のようにきれいな姿を見せているかたらかもしれません。しかし、私は、秋に来た時の紅葉のすばらしさと、温泉のイオウの匂いと共にニセコが記憶に残っています。
 ニセコはいくつもの火山からできています。成層火山の羊蹄山より、規模が大きく、東西に延びています。東西25km、南北15kmに広がります。東には、ニセコ火山群で主峰であるニセコアンヌプリ(1308m)があり、西は日本海に突き出すようになっています。
 非常に古くから活動してた火山で、雷電山、ワイスホルン、目国内岳(めくんないだけ)、岩内岳(いわないだけ)は、侵食によって火山の地形が不明瞭になっています。最初に雷電山、続いてワイスホルンが、200万~150万年前に活動を始めました。これ以降、西から東へ、火山活動が移動していきます。目国内と岩内岳が、150万~100万年前に活動していきます。白樺山、シャクナゲ岳が100万~50万年前に、そしてニセコアンヌプリが活動します。
 はじまった順に、火山活動も停止していきます。雷電山は100万年前に、岩内岳は50万年前、白樺山とシャクナゲ岳は30万~20万年前に、ニセコアンヌプリは20万年前に活動を停止します。
 その後、10万年ほど火山活動の記録は見当たらず、約10万年前に、再びチセヌプリが活動を始めます。そして、イワオヌプリがいちばん新しい火山で、2万~1万年前に活動を始めます。イワオヌプリでは、溶岩ドームを形成して、一部が崩壊して火砕流を発生したこともあります。
 最後の溶岩ドームの活動によって形成された火山噴出物(降下スコリア)直下の土壌で約6000年前の噴火年代が得られ、羊蹄火山灰層に覆われています。そのことから、約6000年前にイワオヌプリでマグマが噴火したのが最後の活動とされています。しかし、北海道大学の中川光弘教授によれば、マグマ噴火の6000年前より新しい時代の溶岩ドームがあるかもしれないという指摘がなされています。
 その理由は、新しい複数の爆裂火口があること、そして現在も噴気活動が続いていることから、まだ火山の活動は終了していないと考えられています。現在ニセコは、活火山に指定されています。活火山の定義は、1万年以内に噴火の記録のあるものですが、イワオヌプリはそれに相当します。
 ニセコの火山は、どうも休み休み、ゆっくりとした活動を繰り返してきたようです。そして複数の火山が同時進行で噴火をしてきたようでもあります。しかし、今のところ噴火の兆候はみられませんが、活火山として注意はしておく必要があります。
 5月初旬のニセコは、麓では春の花が咲き始めていました。ニセコアンヌプリのような高い山の頂部には、まだ雪がいっぱい残っています。ですから、高い山のスキー場はまだオープンしていたようで、春スキーを楽しんでいるスキーヤーがいました。スキー場のリフト乗り場の駐車場は車で、一杯でした。
 ニセコは、活火山ですので、温泉もあちこちにあります。私たちはペンションに2泊しましたが、1泊目はニセコ駅前にある温泉に出かけました。ニセコの温泉は、火山の恵みです。旅行に出かけて、いろいろな温泉に入るのは、大いなる楽しみになります。
 天気は良く、暖かい日でしたが、かげると肌寒いし、とても川に入る気のしない気候です。ニセコを廻っている途中に尻別川を何度か渡ったのですが、ラフティングのボートを何艘もみました。かなりの水量の中を翻弄されたボートが進んでいきました。皆ウエットスーツを着ていましたが、大勢の人たちが、川くだりを楽しんでいました。私は、尻別川に入るよりは、温泉に入りたいものです。
 山頂は雪が残っていますが、麓は花の季節を迎え、川遊びがはじまっていました。ニセコの春は、冬と夏が共存していました。

・開通・
最初、ニセコに出かけると決めた時、
家内の友人は、スキーですかとたずねたそうです。
この時期にスキーができるのは、
雪の量の多い、高い山で、ニセコがそれに当たっていました。
私は、五色温泉を通り抜ける道を行きたいと考えていました。
スキーがまだできるようなら、そのコースは無理かなと思っていました。
そのコースは、道路マップによると、冬季閉鎖となっていました。
しかし、ペンションの主人に聞いたら、
もう開通しているというので、ほっとしました。
その結果、ニセコアンヌプリを一周することができました。

・家族サービス・
ニセコへは、札幌から小樽経由で行きました。
渋滞はしていませんでしたが、
連休の初日でしたので、多くの車があり、
北海道の郊外ではめずらしく車が数珠つなぎで走っていました。
まして、ニセコは観光地ですから、
観光の名所には、多くの観光客が詰め掛けています。
特にアイスクリームとケーキで有名なところは、
駐車場が満杯の盛況でした。
私たちも、そこに半日いました。
子供たちと妻が、ガラスのトンボ玉を作ることと
アイスクリームを食べることにしていたので、
昼食をはさんで半日いました。
本当はアイスクリーム作りもしようかと思ったのですが、
屋外でおこなうので、風が肌寒かったので、あきらめました。
帰りは渋滞避けるために、美笛峠から支笏湖に抜ける道にしました。
その日は雨でしたが、移動日だったので、事なきを得ました。
滞在中は、天気はよかったので、家族サービスとしては
いい旅行となりました。