2012年8月15日水曜日

92 登別:地獄の湯

 夏休みの中頃、家族で登別温泉に出かけました。夏の期間、登別温泉では、イベントがおこなわれています。そのイベントは、噴火を模したものでしょうか、地獄の鬼が花火をおこなうというものです。登別は倶多楽火山群の一部となっています。つい最近(200年前)に噴火したことが分かってきました。

 8月の夏休みに、登別に家族で出かけました。暑さもそれほどではなく、天気もなんとかもってくれ、登別の観光と温泉、そして食事を楽しむことができました。登別は、北海道の室蘭の近くで少し苫小牧寄りにいったところです。登別は、温泉として有名ですが、千歳空港からも1時間ほどでいけるので、本州の人にも馴染みのある温泉地ではないでしょうか。温泉以外の観光施設もいろいろあるので、2日くらい滞在しても十分見応えがあります。
 大学の校務が忙しくなったのと、子供たちの予定がいろいろはいってくるので、なかなか家族ででかける予定が取れなくなってきました。なんとか、8月上旬、1泊2日ででかけました。登別は何度も出かけているところで、泊まっている宿も馴染みのあるところです。泊まった宿の温泉も、夏は温度がぬるめにしてあるのでしょうか、熱い湯が苦手の私も、何度も浸かることができました。
 登別の温泉街を歩いて登ると、一番山側に地獄谷と呼ばれるところがあります。噴気を出しているところ、自噴する温泉が、いくつもあります。噴火活動が活発なので、植生はあまりありません。それを地獄のような景色と見たのでしょう、地獄谷と呼ばれています。地獄谷の中を通る木道があります。その木道に、夏の期間は、フットライトが点けられ、夜でも歩くことができます。木道の一番奥には、間欠泉があります。
 間欠泉とは、一定時間ごとに水(温泉)が吹き出す現象です。地獄谷では、直径1mほどの池から温泉が吹き出しています。激しく立ち上がる噴出ではないので、間近で見ることでき、なかなか見ごたえがあります。温泉の池の中には、沈殿物の結晶がきれいに並んでいます。
 間欠泉が地獄谷の源流になり、川に温泉水が流れ込んでいます。温泉ごとに溶けている化学成分が違うため、流れる温泉の沈積物が変わっていき、色の違う川底となっています。不思議な色の流れが地獄に彩りを与えています。
 車で地獄谷の脇をとり抜けて、さらに奥に登って行くと、大湯沼(おおゆぬま)と奥の湯と呼ばれている温泉が湧きだす池があります。地獄谷のひと尾根越えたところになります。大湯沼の背後には、標高377mの日和山(ひよりやま)がそびえています。日和山の山頂からは、水蒸気の噴気が上がっています。
 道をさらに奥まで進むと、倶多楽(クッタラ)湖があります。倶多楽湖から、日和山から地獄谷にかけては景観は、火山でよってできたものです。登別の噴気地帯も、倶多楽(クッタラ)火山群の一部となります。
 倶多楽火山は、約8万年前から活動を始めました。8万年前から6万年前まで、比較的大きな噴火を何度も起こし、軽石を放出しました。地獄谷のもととなった山(地獄谷火砕丘と呼ばれています)が、この噴火できました。
 6万年前から4万年前にかけて、3度の大噴火と、小規模の噴火、そして溶岩を流出する噴火もおこっています。この大規模な噴火で、カルデラができ、それが今のクッタラ湖となりました。
 その後、小規模な火山活動が継続しています。約1万5000年前には、日和見山(潜在溶岩ドームと呼ばれます)ができました。倶多楽火山は、ここ8000年間に12回以上噴火していることがわかっています。現在30ヶ所以上の温泉の湧き出し口(源泉)がありますが、それらは火山活動の名残といえます。
 倶多楽火山は、倶多楽湖のカルデラを中心として、その周囲の外輪山、外輪山のさらに外側に、橘(たちばな)池火口、日和山(溶岩ドームと呼ばれています)などがあります。倶多楽カルデラの西に、地獄谷が位置して、その下流に登別温泉があります。
 倶多楽火山は最近噴火が解明されてきました。倶多楽火山の一部として、大湯沼や地獄谷も、新しい噴火でできた火口です。日和山、大湯沼、地獄谷を登別火山としています。一番最近の噴火は、約200年前ころに起こった登別火山です。正確な年代はわかっていませんが、有珠山を起源とする1663年の噴出物の上位にある噴出物が、この噴火のものだとされています。さらに、有珠山の噴出物の上にある腐植層の厚さから、約200年前ではないかと見積もられています。
 最新の火山噴火は、かつては火口が1つだと考えられていたのですが、7ヶ所以上の火口からなるかなりの規模の噴火であったことがわかてきました。その痕跡は、日和山の山頂から大湯沼、裏地獄まで、北西から南東方向に火口の列として残されています。
 登別火山も含め、倶多楽火山は、今後も噴火の危険性があります。もちろん活火山で、Cランク(活動度が低い活火山)になっています。
 夜に祭りがあったので見に行くことができました。地獄谷では、夜に「地獄の谷の鬼花火」がおこなわれていました。6月1日に始まり、毎週、木曜と金曜日にだけ開催され、計19回の祭りです。私たちが宿泊したのは、最終日の前日の木曜日で天気にも恵まれて、見ることができました。3000人ほどの観光客が見物にきていました。狭いステージですが、なかなか見応えがありました。翌日のフィナーレの日は、雨でしたが「雨天決行」となり、2000名ほどの見学があったようです。地面が濡れているので立ち見だったようです。
 本当なら大湯沼から日和山、そしてクッタラ湖をめぐってきたかったのですが、今回はいけませんでした。初日は、マリンパークの見学で時間をつかっていたため、2日目は伊達時代村を見に行く予定の時間が迫っていました。まあ、以前に何度かきていますので、よしとしましょうか。

・鬼花火・
地獄谷での鬼花火は、
いろいろ演出がされた見ごたえのあるものです。
湯鬼神(ゆきじん)とよばれる10体の鬼が
太鼓や鐘とたたき、
6体が手筒花火をするものです。
勇壮で華麗でした。
30分ほどのイベントですが、
最後に良い条件で見ることができてよかったです。
温泉街の夜店も冷やかしながら歩いて、
買い物もしてきました。

・暑さ寒さもお盆まで・
お盆になり、北海道の暑さも一段落です。
一雨ごとに涼しさを増してくるようです。
朝夕は爽快な気候となっています。
出歩くのにいい時期になりましたが、
お盆が開けると、小・中・高校がはじまります。
次男の小学校は20日から
長男の中学校は21日からはじまります。
いずれも2学期制となっていますので、
学期の始業式はないようです。
まあいきなり初日から
授業開始ということはないと思いますが。