2016年6月15日水曜日

138 倶多楽湖:カルデラに佇む

 倶多楽湖は、太平洋側を札幌から室蘭方面に向かう途中にある火山です。支笏と洞爺の大きなカルデラの間にある小さなカルデラ湖とですが、そのひっそりとした佇まいは、小さいのですが、深い味わいのある湖です。

 先日、大学の用事で登別に出張しました。遅刻がいやなので、いつも早め早めに、目的地に着くようにしています。私は、待ったり、時間を潰すのはあまり気になりません。今回も約束の時間より、1時間ほど早めに登別に着きました。目的地へは、高速道路を降りてから10分もかからずに到着できます。ですから、1時間ほど余裕ができました。早速、倶多楽(くったら)湖へ行くことにしました。
 倶多楽湖の湖畔へいくには、2つのルールがあり、周回道路となっています。どのコースをとっても湖畔へはたどり着けます。時計回りと反時計周りのコースがあります。反時計回りのコースの入り口は、温泉街に行く途中に右折して行きます。途中から狭い道の上り道をしばらく進むと、倶多楽湖へと出ます。狭いため大型の観光バスは、このルートを使わないようで、時々マイカーが通る程度です。私が行った時も、1台しかすれ違う車がありませんでした。そのコースの行き着いたところが、倶多楽湖になります。私がいったときは、湖畔にはだれもいず、ひっそりとした湖畔でした。
 もう一方の時計回りのルートは一般的な観光ルートで、広い道路を進むと、登別の温泉街に着きます。そこから地獄谷を右に見送りながら、道なりに登り始めると、大湯沼(おおゆぬま)への分かれ道をへて、日和山(ひよりやま)の東脇を通ります。途中に、眺めがあまり良くないのですが、倶多楽湖をみることができる展望台があり、そこを経て湖畔にでます。温泉街から地獄谷へ観光バスで移動する人たちは、大きな駐車場のある大湯沼を観光して戻ることになるのでしょうか。マイカーの人も、観光道路として完備されている倶多楽湖の展望台までいくようですが、湖畔への道は、急に細くなるので、多くの人は展望台から引き返すことになりそうです。
 登別の魅力は、温泉はもちろんなのですが、街から歩いてすぐのところで、地獄谷や大湯沼、日和山にかけて、活発な火山活動を見ることができ点ではないでしょうか。地獄谷では、熱水が湧いて流れ、噴気活動も活発で、まさに地獄を思わせる火山の景観となっています。大湯沼では、底からは130℃になる硫黄泉が噴出していて、表面でも40~50℃の温泉になっています。ひょうたん形の沼なのです、すべて温泉水であるのが驚きです。少し下流には、足湯もあるようです。かつては沼の底からイオウを採掘していたそうです。沼越しに見える日和山は、今も激しく噴気を出しています。日和山が噴火した時の火口が、大湯沼になっています。
 登別は、火山の多様な景観と、多様な泉質の温泉という恩恵をも感じることができる地であります。ですから、観光として登別を堪能するには、コンパクトで、なかなかいいところだと思います。登別の温泉街や、地獄谷から大湯沼、日和山の火山活動の活発な場と比べると、倶多楽湖畔は、ひっそりとしています。
 でもそんな静かに佇む倶多楽湖が、私は気に入りました。
 倶多楽湖は、直径2.5kmほどの綺麗な丸い形をしています。湖の周囲の岸は、ほとんど平らなところがなく山が、湖面まで迫っています。山並みも3kmほどの直径になっています。水深は、平均で104.9m、最大で148mもあります。湖水の標高は258あり、周辺の山々500mを超えています。湖面から急に山になっています。小さな湖ですが、そ深いすり鉢状の丸い湖だということになります。このような火山地帯の丸いくぼみは、カルデラと呼ばれるものです。
 カルデラは、噴火によってできた火口です。雨水や周囲の山に由来する地下水がたまったものです。湖畔は岸が少ないので、人家もほとんどなく、河川の流入もないので、水もすごくきれいになっています。
 そんなさまざまな条件が、静かな倶多楽湖の静かに澄んだ姿を生み出しているようです。観光の喧騒から少し外れて佇んでいる湖です。
 倶多楽は、8万年前ころから活動をはじめて、4万年前くらいまで複数の火口から火砕流などの激しい活動をおこなった成層火山です。4万年前の噴火で、成層火山の形が崩れて、カルデラが形成されました。その後倶多楽湖の西に火山活動が移りました。1万5000年前から、デイサイトの溶岩ドームが日和山になりました。8000年前からは、水蒸気爆発が繰り返され、火口群ができました。これらの火口群が、現在の大湯沼や地獄谷になっています。大湯沼や地獄谷、日和山では、今も噴気活動、熱水活動が続いています。また200年前ころ(推定)には、大湯沼や地獄谷、日和山の火口列で噴火をして、火山灰を放出ています。最近では、2016年2月に登別温泉の周辺で、地震の増加が観測されました。現在も、そして今後も活動が継続ていくはずの倶多楽火山は、活火山なのです。
 今の時期の北海道は、新緑の季節で非常に森の緑の綺麗な季節となります。私が倶多楽湖にいったのは、平日の午前中でした。小雨の降り出すあいにくの天気でしたが、鮮やかな新緑を堪能することができました。特に反時計回りの湖畔までの道は、緑のトンネルをくぐり抜けながら走るのコースは、気持ちのいいものでした。この心地より道を、のんびりと進んだ先に、だれもいない静かな湖畔にたどり着きました。湖畔でしらばく、のんびりと佇みました。新緑の梢越しに湖畔を眺めるのは、疲れた心身を癒やしてくれるものでした。ひとり静かに佇むには、最高の条件でした。また次の機会があればと思いました。

・カルデラへも・
登別には何度か行っています。
宿泊も何度かしています。
このエッセイでも、一度取り上げています。
北海道には、洞爺湖と支笏湖の大きなカルデラがあり、
倶多楽湖はその間に位置しています。
登別温泉は有名なのですが、
倶多楽湖のカルデラは、それほど目立つ存在ではありません。
しかし、幹線道路から少し足の伸ばせば、
静かなカルデラ湖畔へとたどり着けます。
そして道中には多様な火山活動の様子も見学もできます。
観光だけでなく、火山の見学でもいいところです。

・夏へ・
北海道は、新緑の初夏から、
夏へと移り変わってきました。
YOSAKOIソーランもこの週末に終わりました。
次男は午後に見入ったのですが
夜に帰ってきてファイナルは自宅のテレビでみていました。
YOSAKOIが終わると北海道神宮祭(14日から16日)があります。
そして、北海道には本格的な夏がきます。
今年は少々肌寒い日々が多かったのですが
やっと北海道も夏めいてきました。
しかし、じっとしていても
汗がでてくるような暑さはまだ先のようです。