隣の街の紹介です。時々訪れるところなのですが、決まったルートや場所しかいっていませんでした。コロナ禍で野幌丘陵の南をウロウロしたことで、北広島をめぐりました。すると、思わぬ風景が見えてきました。
北海道は3月21日まで、まん延防止等重点措置がとられています。その後は、解除になりそうですが、現時点ではまだ決定していません。1月末から3月中旬にかけて、何度目かの自粛生活をしてきました。この2年間、自粛が中心の生活となっていました。その間、校務と研究で、毎日、大学には出ていました。研究室にいるだけで、人に合うことは極端に少なくなっています。会議も、授業も学生指導も遠隔で進めてきました。いくつか教職などの資格で許可をえた授業だけは対面で進められています。3月にも対面授業をおこないました。4月から対面での授業の体制で予定されています。もともと冬場には地質調査にはでかけないのですが、コロナ感染拡大で出かけることはさらに困難になっています。
さて、今回のエッセイですが、近場の北広島を紹介しましょう。
高速道路に乗る時やJRで子どもの送迎に便利なので利用していました。隣町で近いところなのですが、これまでうろうろすることが少いでした。コロナ禍になって、野幌丘陵の中でいったことがないところを、散策したり、買い物にいったり、ホテルにも泊まったりもしました。その結果、少し身近な街になってきました。
北広島は、名前の通り、この地に明治に広島県から入植したことに由来しています。北広島は、札幌の東にあたり、野幌丘陵の南から中央部に位置しています。野幌丘陵は、恵庭市との境界にある北広山(487.8m)から南にゆるく傾斜して江別市まで陸地の半島のように伸びた山並みです。丘陵は、石狩川の氾濫原でもある平野に消えていきます。
丘陵の形は、南北に伸びる稜線を中心に東西に下っている形になっています。このような構造は地質の背斜を反映しています。背斜は、東西の圧縮を受けるとできる地形です。丘陵は侵食が進んでおり、稜線から東西に谷が網状に形成されています。このような地形ができるのは、野幌丘陵の地質とその形成史によります。
野幌丘陵は第四紀更新世の堆積物からできています。地層は180万年(更新世前期)から1万年(完新世)くらいまで堆積したもので、いくつもの地層に区分されています。下(古い時代)から、裏の沢層、下野幌層、音江別川層、竹山礫層、もみじ台層、小野幌層、支笏火山噴出物、元野幌層、江別砂層、厚別砂礫層(広島砂礫層)、樽前降下火山灰層に区分されています。
これらの地層には、化石も多数見つかっていまし。化石は生物の遺骸なので、その生物の生活環境から、昔、地層がたまった時の様子がわかります。
かつてこのあたりは寒流の来ている海でした。その後、海水から汽水(干潟や河口などの淡水と海水が交じるような場所)、やがて淡水へと変化していったことがわかっています。
裏の沢層が溜まっていた頃は、このあたりは沈降している地域だったのですが、更新世中頃(60万年前ころ)から、上昇に転じ、海から陸域に変わってきたと考えられます。
これのような変化は、大きくみると、太平洋プレートの沈み込みによって北海道が圧縮されたことで起こったもので、ゆっくりとした変動でした。このような大きな地質変動で幾筋からの背斜や向斜ができてきました。
堆積後まもなく堆積物が固化する前に、背斜が陸化しは丘陵となりました。そのため、柔らかい地層のまま侵食にさらされたため、開析が進んでいきます。
ただし、海から陸への変動は一様ではありませんでした。下野幌層(100万年前ころ)や音江別川層(40万年前ころ)の下には、侵食を受けた地層(陸化したことになる)の上に堆積物がたまっています(不整合という)。音江別川層の最も高いところは当時の海面にあたり、現在より40mメートルは高かったと考えられます。
それらの境界があることから、海になったり、陸になったりを繰り返していることがわかります。そのような変動が、化石から温暖化(海になる)と寒冷化(陸になる)と対応していることもわかります。氷河期と間氷期の繰り返しと、海と陸の変動が対応していると考えられます。
夏に、野幌丘陵で車で入れる奥まったところへもでかけました。森の中の温泉や野菜の直場所、小されレストランなど、知らないところに興味深いところがあることを知りました。ですから、これからも時々訪ねたいと思いました。
住んでいる身近な丘陵に見られる地形や地層から、過去の環境を探ることができます。そんな好例を、散策から知ることができました。
・オミクロン株・
ニュースによれば、北海道も含めて、
各地でまん延防止法等重点措置が終了しそうです。
しかし、オミクロン株(BA.2)は
より感染力も高くなっているようです。
感染者数は高止まりのままのようです。
措置が終了しても、注意が必要になりそうです。
・もう一つの丘陵の景観・
野幌丘陵の森の中にある温泉ホテルがあります。
子どもの行事があったとき
送迎で訪れたことはあったのですが、
これまで、全く中にはいることはありませんでした。
しかし、冬に宿泊にいったことがありました。
最上階に食堂があり、そこからの眺めが最高でした。
丘陵をさらに高いところから、
新雪の森を眺めることができました。
その景色は幻想的で今までみたことがない
丘陵の森の景観でした。