2020年11月15日日曜日

191 駒ヶ岳:噴火と景観の形成

 北海道の秋は足早です。10月下旬と11月上旬に校務で函館にでかけました。その時、大沼に立ち寄りました。大沼の背後には、駒ヶ岳がそびえています。大沼の景観は、駒ヶ岳なしには語れないところです。


 新型コロナウイルスの感染が、これまでにない広がりを見せています。しかし、以前のような厳しい自粛はまだ取られていません。そのため、コロナ対策のルールに従っていれば、市町村境界を越える移動も可能になっています。越境を伴う校務で、何度か出かけることになりました。近隣の市町村への出張もありましたが、最近、函館方面に連続して2度出かけることになりました。大学の講義や校務において、どうしても行かなければならない出張でした。

 函館周辺のエッセイは、何度か書いたのですが、今回も函館周辺になります。街中では、地質の話を書くのはなかなか大変のなので、今回も大沼での話題となります。大沼は、車で周囲を回れるので、時間があれば巡っています。今回も、紅葉の湖畔を巡りました。

 大沼は、「大沼国定公園」に指定されています。大沼は、沼があるだけでなく、背景に駒ヶ岳が聳えているために、その景観に変化や彩りを与えていることが大きな特徴となっています。駒ケ岳は、独立峰として聳えているのですが、その姿が奇異で特徴的です。火山の形を見ていると、もともとは富士山のようなきれいな成層火山であったと想像されます。ところが現在の姿は、山頂部が東にむかって壊されているため、角が2つ聳えるような姿になっています。大きな噴火によって、山頂部が吹き飛ばされてできたものです。そんな激しい噴火を想像させるような姿になっています。

 またその麓は、なだらかに波をうったような地形も見えます。また、周辺には、小さな火山(寄生火山と考えられています)もあります。これも火山によるものです。なんといっても大沼の景観も火山の賜物です。

 国道から大沼に入っていくと、JRの線路と道路が橋がかっているところにさしかかります。ここは、大沼と小沼の間の狭い水路になっているところです。「白鳥台セバット」と呼ばれています。セバットとは地形名なのですが、「狭戸」という漢字表記をすることがあります。外国語由来ではなく、アイヌ語由来の言葉で「狭い場所」という意味ではないかと考えられています。この地のみに使われている言葉です。冬期は、大沼も小沼も凍ってしまうのですが、このセバット周辺は、水の流れがあるため凍らないので、白鳥などの冬の渡り鳥の休息場所になっています。11月の出張で函館から帰る道すがら、高速道路を走っている時、白鳥の渡り鳥の群れを見かけました。大沼に向かっていたのでしょうか。

 大沼の他にも、周辺には蓴菜(じゅんさい)沼など、小さな沼がいくつもあります。また沼の中には、岩の小島があり、周辺にも小さな丘が転々とあります。沼の中の丘は、126個もあるそうです。このような地形は「流山(ながれやま)」と呼ばれています。

 流山とは、火山噴火(地震などで壊れることもある)によって火山が崩壊して、山を構成していた岩石や溶岩が麓に流れ下り、大小さまざまな塊が残ったものが丘を形成した地形をいいます。大沼は、流山の典型的な地形を持っているところで、沼の中に丘が点在するという素晴らしい景観を形づくっています。沼の背景には、駒ヶ岳の異様な山体が聳えています。

 これらの景観は、過去に起こった何度かの大噴火によって、現在の姿になったと考えられています。駒ヶ岳は歴史時代にも大きな噴火が何度もおこっており、古文書にも記録されてきました。1640年、1694年、1856年、1929年は、大量の軽石を噴出する大噴火を起こして、火砕流も発生しています。

 特に1640年の噴火では、大規模な山体崩壊(クルミ坂泥流とよばれる岩砕なだれ)が起こったことで津波が発生して700余名の死者が出たことが、古文書の記録(「松前年々記」など)に残っています。大沼も、もともとは河川があったところに、1640年の火山噴火で川がせき止められて、沼(堰止湖といいます)として形成されました。

 1929年(昭和4年)の噴火も大規模で、軽石噴火と火砕流が発生しました。人家や耕作地、漁場に被害を与え、2名の死亡も確認されています。駒ヶ岳は、活火山に指定されていますので、さまざまな観測装置で噴火の前兆を捉えるように観測網が敷かれています。また、ハザードマップも作成されています。現在は警戒レベルはもっとも低い1ですので、登山もできます。登ったことはないのですが、駒ヶ岳からの眺めも素晴らしいのでしょうね。

 噴火の間隔はいろいろで、噴火の規模もさまざまですが、繰り返し大きな噴火が起こっていますので、注意は必要です。しかし、噴火の起こっていない時の方が圧倒的に長い期間となります。そんな平時には、火山による素晴らしい景観も、周辺にある温泉も火山の恵みを味わっていきたいものです。


・積雪・

11月に函館に向かう前日まで雪でした。

予報で雪なるとわかっていたので、

出かけるために、いつもより早く、

スタットレスタイヤに交換しました。

しかし、凍った道は、スピードも出せないので、

約束の時間に間に合うようにとかなり早めにでました。

すると、一部、雪道はあったのですが、

無積雪期と同じ程の時間で着きました。

長く函館に滞在する時間がありました。


・五稜郭・

今回の校務は、函館の街中でした。

一度目は湯の川という温泉地に近いところでしたので、

温泉に宿をとりました。

こちらも早めに付きそうなので、雨模様でしたが、

紅葉の真っ盛りの大沼を巡りました。

2度目は、五稜郭に近いところでした。

時間があったので、五稜郭の見学をしました。

紅葉も終わりに近いでしたが、

五稜郭で、晴れた青空に映える

イチョウの大木の紅葉を

いくつも見ることができました。