2021年6月15日火曜日

198 長崎とハウステンボスと学芸員と

 長崎を紹介するかようですが、学芸員とハウステンボスもタイトルに加えています。関連のない3つのお題から、どう展開していくのでしょうか。今回は地域地質からは離れます。


 長崎には、3度ほど訪れたことがありました。最初は、高校時代の修学旅行ですから、かなり昔のことです。九州を広くバスで巡り、長崎市内では平和公園とグラバー邸が記憶に残っている程度です。2度目は2006年1月で、家族で九州旅行で訪れた時、長崎空港からレンタカーでスタートしました。天草に向かってから、熊本から阿蘇へいって宮崎に抜けて鹿児島に南下しました。そのため、空港から北へは全くいっていませんでした。

 3度目は、2018年6月に学芸員課程をもった私立大学の関係者の集まり(全国大学博物館学講座協議会)に出席した時でした。この協議会は長崎国際大学にて開催されました。大学代表して参加することになりました。学芸員の資格をとれる大学の担当者(教員と職員)が集まって、情報交換する会です。各地の大学が持ち回りで催しています。

 学芸員資格とは、博物館の専門的職員のための文部科学省の認定する国家資格のことです。資格をとるためには、(1)大学の学位と資格に必要な科目を取得、(2)単位を取得し3年以上の学芸員補を経験、(3)上と同等以上の学力や経験が認められるもの(学芸員資格認定)、という3つの方法があります。最後の学芸員資格認定には、試験認定と審査認定があります。協議会は、(1)や(2)の課程を持っている大学の集まりです。

 以前、博物館に勤務し、博士の学位をもっており、学芸員補と同等の経験(博物館で実務経験)が2年以上あったので、(3)の学芸員資格認定の審査認定(無試験認定とも呼ばれます)で申請すれば、学芸員の資格をとることができました。しかし、煩雑な申請書類の作成と新設の博物館の開設の準備でバタバタしている時期が重なったのと、資格を持っていても実働や待遇に差がありませんので、申請を見送りました。私がいた県立博物館では、学芸員資格をもっていれば主任学芸員という肩書になり、持っていなかったので主任研究員という肩書になりました。

 私の大学には考古学を専門とする先生が何人かおられ、古くから学芸員の資格がとれる課程がありました。博物館法(1955年施行)が2009年に一部改正され、学芸員に関する資格の科目や単位が変更されましたが、新しい課程でも資格が取得できるようになっていました。私も科目を担当しており、現在も継続中です。毎年、10数名程度の学生が受講し資格を取得しています。長年資格課程を持っているので、博物館に就職している学生も、それなりの人数になっています。

 2013年、我が大学で全国大学博物館学講座協議会が開催された時、見学会の小樽コースの案内者を申し付けられたことがありました。

 今回の長崎国際大学での協議会には、大学からは私だけが参加することになりました。長崎国際大学は、佐世保市に位置しているのですが、はじめて訪れるところでした。大学の近くに3泊したのですが、大規模なホテル、高級なホテルなどがあります。それらはすべて、ハウステンボスを訪れる観光客のためのものでした。大学にも近いので、そこの一つに宿泊することにしました。なかなか立派なホテルで、さすが日本での有数の観光地でした。

 学会は、研究報告と総会があり、夜には懇親会が行われました。懇親会で名産品がいろいろ提供されました。印象に残ったのは、ハーゲンダッツのイチゴに地域のものが使われているとのことで、大量に供されていました。

 地質学や自然科学の分野を専門としているのですが、学会参加者の多くは、人文系を中心とする研究者や職員でした。懇親会でいろいろと話しをしていたのですが、なかなか話が合わないので、なかなか深い話で盛り上がることはできませんでした。でも、懇親会は楽しいので満喫できました。

 長崎国際大学はいくつかの特徴をもっており、近所にあるハウステンボスと提携しており、もうひとつのキャンパスと位置づけて、授業などにも活用しているようです。学生は、学生証を見せ記帳すれば、ハウステンボスに無料で入場することができるとのことです。羨ましいですね。ところが、学会を手伝っていた学生に聞くと、入学当初はうれしくて何度も入場するそうですが、やがて飽きてしまい、ほとんどいかなくなるとのことです。高い入場料を払っている一般人からみると、もったいないように思えます。

 学会の主催校が、いろいろな見学会が企画してくれます。そのひとつに懇親会のあとに、夜のハウステンボスの見学があったので、それに申し込んでいました。懇親会のときのアナウンスでは、ハウステンボスでは提携している大学で行われる学会の行事なので、それを祝して見学する夜、花火大会も催してくれるとのことでした。観光シーズンからはずれた時期、それも平日の夜にかかわらず、ハウステンボスで花火が開催されることになりました。

 その時期は、イルミネーションも行われていたので、幻想的で華やかな夜のハウステンボスを見ることができました。もちろん、花火もです。はじめてのハウステンボスの体験でした。

 翌日の見学会は、2つのコースがあり、ひとつは「日本の近代化を支えた産業遺産」になっている軍艦島と、もうひとつは平戸周辺の見学でした。軍艦島に行きたかったのですが、荒れると上陸できないこともよくあると聞いていました。上陸できないと残念なので、確実な平戸を選びました。

 佐世保駅集合で、バスで巡りました。平戸は、この学会の開かれた翌月の2018年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産へ登録されたところです。その直前のタイムリーな時期に観察会で訪れることになりました。平戸では、平戸オランダ商館や松浦史料博物館を訪れ、生月島(いきつきしま)にも渡りました。いろいろとキリシタン関係の資料や教会などを見学しました。

 もっとも印象に残ったのは、小さな白石漁港にある「あやか水産」の漁師の食堂「母々の手(かかのて)」で昼食をとったことです。見学会の昼食をそこで摂ることになりました。各自で食事をするのですが、バイキングコースを勧められました。漁師のお母さんたちが、手料理で作っている食材を振る舞うもので、その日獲れた魚の刺身が食べ放題で、食べても食べても次々と新しい皿が出されていました。すべて美味しく、満喫できました。

 私はひなびたところが好きなので、平戸の風情を堪能できました。また、案内の先生が豪快な女性で、説明も面白かったです。そして地元の名産の味が堪能できました。


・緊急事態宣言・

前回は、急な配信中止でご迷惑をかけました。

ゴールデンウィークに出かけ

その直後に緊急事態宣言が発令されました。

エッセイの内容がその時のものだったので、

緊急事態宣言の直後に出かけたという内容のエッセイは

ふさわしくないのではと思い

配信を、急遽、取りやめました。

ブログとホームページでのみ

エッセイを掲載することにしました。

北海道の田舎で、ルールも守って感染予防もし

人の多い所へは避けて、野外を見て歩きました。

毎日、スーパーで地元の美味しいものを

買い物をし、午後の早目にもどって、

購入した名産品を食べていました。

家内は毎日のように大好きな刺し身三昧でした。

北海道は、まだ緊急事態宣言が継続中です。


・継続する施設・

この協議会の見学会で、博物館に関連した施設や場所をめぐります。

今回の緊急事態宣言で、多くの博物館相当施設が

閉館となっているのではないでしょうか。

民営の博物館では、開館して通常営業できないと

経営的に非常に大変だと思います。

博物館には、公営のものも多いかと思います。

公営では営利目的ではないとしても、

入館料収入と入場者実績がないとなると

今後の継続も大変になるであろうと想像されます。

それに入館者がいなくても、維持管理経費、人権費、

将来に備えての準備作業などは継続しているはずです。

コロナ禍が早く収まるのを願うしかありません。